職場に美人が配属されてくると、それだけで雰囲気が変わるものだ。 しかし、その人がいつまでも仕事の要領を得なかったり、懸命に頑張っている姿を見せなかったりすると、 次第に周囲の人の心は変わっていく。本人が謙虚に振る舞わないものなら、しまいには職場で浮いた存在になってしまう。 連載29回目は、第一印象はいいものの、自尊心や虚栄心が強いばかりに周囲とうまくいかず、 転職を繰り返す美人社員を紹介しよう。あなたの職場にも、このような社員がいないだろうか? 今回の主人公――はい上がれない「負け組社員」 新田恵美(仮名・31歳) 大学卒業後、2つの地方放送局で「契約アナウンサー」として、2つの編集プロダクションで 「編集者」として働いた経験を持つ。どの職場でも上司や同僚から認められないことに不満を募らせ、 わずか8年間で4つの会社を渡り歩いた。この春結婚して「専業主婦」になった。 JR新宿駅の西口から歩いて5分。名前を聞けば誰でもわかる高級ホテルの3階では、結婚式が行なわれている。 ウエディングドレスを着た新田恵美が、3つ年上の夫と共に高さ60センチほどのデコレーションケーキの前に立った。 「きれい〜!」 会場の隅から声が漏れる。その瞬間、新田は作り笑いを浮かべる。 新田は4年ほど前まで、テレビ局で契約アナウンサーをしていた。ある地方の放送局Bでは、ミニ番組のレポーターを担当した。 “メイン”のニュース番組を担当した経験はない。上司であるアナウンス部長などから、「使えない」 という烙印を押されて契約を切られた。 今日の新田からは、そんな過去を微塵も想像させない「幸せいっぱい」のオーラが立ち昇っている。 新田の容姿は多くの人を惹きつける。顔の彫りは深く、目鼻立ちがはっきりとしている。 30歳を越えてもなお、スタイルは抜群だ。 会場にいる120人ほどの出席者が、笑顔を振りまく新田に見入る。 2人の両親や兄弟をはじめ、学生時代の友人、現在の職場の同僚や上司たちである。 そのなかには、新田のかつての同僚や先輩であるアナウンサーたちもいた。 結婚式に出席するために、地方から上京してきたのだ。 >>2以降へ続く
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